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2025年の初頭から、証券会社を標的とするサイバー攻撃が増加。特にフィッシングサイトを利用した不正売買の手口が深刻な脅威となっています。
攻撃者は実在する証券会社のウェブサイトに似せた偽のログインページを作成し、利用者に対してメールやSNSを通じてそのページへのアクセスを促します。そして利用者が偽サイトにIDやパスワードなどの認証情報を入力してしまうと、その情報が攻撃者の手に渡り、本人になりすまして証券口座に不正アクセスが行われてしまうのです。
こうしたフィッシング詐欺を通じて得た情報を使い、攻撃者は実際に株式や金融商品を売買し、株価操縦による利益を得るケースも報告されています。この不正アクセスによる問題は、投資家である個人の資産が失われてしまうことはもちろん、証券会社にとっても信用に大きな影響を与える深刻な問題といえます。
参照元:金融庁|インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引による被害が急増しています
(https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/chuui_phishing.html)
万が一、サイバー攻撃により顧客の個人情報や口座情報・取引履歴などの機密データが外部に流出すれば、被害を受けた顧客に対して深刻な経済的損失を与えるだけでなく、会社自体への信頼も著しく低下します。
信用の失墜は、証券会社の営業活動や新規顧客の獲得に大きな影響を及ぼします。既存の顧客からも解約が相次ぐため、経営面において直接的な打撃となるでしょう。
また、情報漏洩が報道などによって公になると、市場は敏感に反応し、その会社の証券株が急落するケースもあります。投資家が企業のガバナンスやリスク管理体制に対して不安を感じることで、こうした影響が現れるのです。
サイバー攻撃などの問題が続き、業界全体に対する不信感が広がった場合、証券市場全体の信頼性が揺らぎ、個人投資家を中心とした取引量の減少や市場の冷え込みといった影響も懸念されます。結果として、金融システム全体の安定性に悪影響を及ぼす可能性すら否定できません。
参照元:株探|野村など証券株の急落続く、日本株下落に歯止め掛からず「5社で証券口座乗っ取り被害」と伝わる
(https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202504070371)
技術的対策としては、多要素認証(MFA)の導入が挙げられます。これはIDとパスワードに加え、スマートフォンアプリや生体認証などを組み合わせて認証を行うことで、不正アクセスのリスクを低減できるでしょう。また、エンドポイントでの脅威検知と対応を行うEDRや、ネットワーク全体を包括的に監視するXDRを導入することで、異常な動きを迅速に検知し、初動対応を自動化・効率化することも可能です。
そのほか、SIEMを用いたログ分析や、SOCによる24時間365日の監視体制を整えることで、潜在的な脅威を早期に発見し、被害の拡大を未然に防ぎやすくなるでしょう。こうした技術的対策は、サイバー攻撃を事前に食い止めるだけでなく、万が一侵入された場合の被害最小化にもつながります。
インシデント対応体制の整備はもちろんのこと、社員一人ひとりのセキュリティ意識を高めるための教育・訓練もサイバー攻撃への対策として有効です。定期的なペネトレーションテスト(TLPT)などを通じて、実際の攻撃時にも冷静かつ迅速に対応できる力を養うことが必要といえます。
ペネトレーションテストの
メリット・デメリット
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ゼロトラストモデルとは、ネットワークの内外を問わずすべての通信を信頼せず、常に検証を行うという考え方に基づいたセキュリティモデルのこと。リモートワークやクラウド利用などにおいて、こうした考えに基づいたセキュリティの運用が重要となります。
外部ベンダーや業務委託先を経由した侵害にも注意が必要です。自社だけでなく取引先やパートナー企業など、サプライチェーン全体に一定水準のセキュリティ対策を求めることで、サイバー攻撃のリスクをさらに抑えることができるでしょう。
ここではサイバー攻撃の標的として狙われやすい「製造業」「金融機関」「IoT」の3つの中から、それぞれのおすすめの理由とともにおすすめの企業を紹介します。